事業が変化に直面したとき、何を見直すか——2020年の経験から考える業務と発信

事業の環境が変わったとき、以前のやり方をどこまで続け、何を変えるか。これは私自身にも突きつけられた問いでした。
2021年初めの記事で、私は自社について、4月に売上が落ち込み、その後は増加に転じたと記しました。ここでは、その当時の記録を出発点に、変化への向き合い方を整理します。
売上の変化は私自身の経験です。ただし、元記事には比較対象や回復までの期間、個別施策の寄与を示す資料はありません。したがって、特定の施策で回復した、あるいは同じ方法で他社も回復できる、という事例にはできません。
経験したことと、未来の予測を分ける
当時の私は、テクノロジーによって仕事のあり方が大きく変わると考え、強い言葉で将来を予測していました。
けれども、自社の売上が変化したという経験と、社会全体の仕事がどうなるかという予測は、根拠が異なります。以下では、当時の予測と自社の経験を分け、業務を見直すための問いを整理します。
経営で必要なのは、未来を言い当てることより、いま確認できる変化に対して、見直せる状態を作ることだと思います。顧客の相談内容が変わったのか。提供する価値が届かなくなったのか。運営の負担が増えたのか。まず問いを分ければ、試すべきことも具体的になります。
発信方法を変えたことは、記録に残っている
元記事の冒頭で私は、動画を埋め込んで誘導したり、セールスレター風に書いたりと試行錯誤した後、再びテキストでしっかり書く形式へ戻すと宣言しています。
これは、売上回復の理由を示す話ではありません。一方で、私が自分の発信方法を固定せず、変更しようとしていたことは確認できます。
形式を変えたという事実を、成功したという評価へ飛躍させない。何を試し、何を変え、結果はどこまでわかっているのかを残す。その記録があれば、次の見直しでも過去の判断を検討できます。
テクノロジーを選ぶ前に、業務を一つに絞る
私は当時から「テクノロジー×事業」を軸に、クライアントのビジネス成長を支援してきたと書いていました。この記事を読み直しても、事業と技術を結び付けて考える視点は残したいと思います。
ただし、技術を入れること自体を成果にしないためには、まず業務を具体化する必要があります。たとえば、問い合わせ対応の負担を減らしたいなら、どの質問が繰り返されているか、回答に必要な情報はどこにあるか、誰が最終判断するかを整理します。
そのうえで、説明資料の整備、担当者間の情報共有、ツールによる補助など、選択肢を検討する。この例は業務の考え方を示すための想定であり、2020年に自社で実施した施策を再現したものではありません。
AIを使う場合も、確認する責任を決める
この考え方をAI活用へ広げるなら、最初から大きな成果を約束するより、対象業務、入力する情報、出力の確認方法を決めて小さく試すのがよいと考えます。
たとえば、記事の構成案を作る作業と、本人の経験を確定する作業では、必要な確認が異なります。構成が読みやすくなっても、記憶や記録にない出来事を追加してよいわけではありません。顧客情報を扱うなら、どこまで入力・公開できるかも先に決めます。
試す前に、作業時間、修正の手間、確認漏れなど、何を比べるかを定めておく。導入後にその条件で評価し、続けるか、直すか、やめるかを判断する。これは今回の活用提案であり、当時の売上回復の原因としてAIを持ち出すものではありません。
見直しの記録を、相談できる材料にする
変化への対応を記事にするときは、大きな成功談にまとめる必要はありません。確認できた過去の事実、当時の判断、いま提案したい方法を分けて書く。それだけでも、読者は筆者の考え方を検討できます。
私の2020年の記録には、自社の売上変化と、発信方法を試行錯誤したことが残っています。一方で、回復の原因を説明するには材料が足りません。その限界も含めて伝え、今後の判断に使える問いへつなげたいと思います。
事業のやり方を見直すなら、まず一つの業務について、現状、変えたいこと、試す方法、確認する指標を書き出すところから始めてください。結果が見えたら、その結果と判断を残す。次の変化に対応するときの材料になります。